― 「言われたらやる」から、「見て、自分で動く」へ ―
「毎日やっていることなのに、声をかけないと始めない」
「『次は何するの?』と、その都度大人が教えている」
「好きなことが目に入ると、やるべきことを忘れてしまう」
そんなお子さんはいませんか?
今回は、「見て分かる環境」をつくることで、来所後の行動を自分で進められるようになってきた中学2年生の事例です。

■ 「分かっていない」わけではない
本人は地名や古代生物など、興味のあることを覚えたり調べたりすることが得意です。
一方、トータスキッズに来ると、職員に話したいことや遊びたいことに意識が向き、
「荷物を置く」
「手を洗う」
「提出物を出す」
という、来所後に行うことを忘れてしまうことがありました。
すると指導員が、
「手洗いは?」
「荷物は?」
と声をかけます。
それで行動できるのですが、この方法を続けていると、「大人に言われたらやる」という流れが続いてしまいます。
そこで考えたのが、
「覚えておいて」と本人に求めるのではなく、必要な時に「見れば分かる」環境をつくることでした。
■ 大人の「声かけ」を、見える仕組みに変える
用意したのは、
①荷物置き
②手洗い
③提出物
を視覚化した「手順チェックカード」です。
ポイントは、カードを作るだけではありません。
本人が来所した時に自然と気づきやすい動線上に置き、「次は何だっけ?」と思った時、自分で確認できるようにしました。
つまり、大人からの、
「次は○○だよ」
を、
「自分で見て、次にすることが分かる」
という環境に置き換えたのです。
■ 「終わりました」まで自分で
さらに3つが終わったら、本人がカードを指導員へ持ってきて、
「終わりました」
と報告するところまでを一連の流れにしました。
そして、
「3つとも自分でできたね」
と、自分で行動できたことを具体的に伝えます。
その結果、一つずつ声をかけられなくても、自分から来所後の行動を始められる場面が増えてきました。
3つすべてを終え、自分から「終わりました」と報告できることも増えています。
■ 「自立=何も使わず一人でやる」ではない
私たちは、カードを使わず全部覚えてできることだけが「自立」だとは考えていません。
大切なのは、
「自分には何があればできるのか」
を知り、必要な手がかりを使いながら、自分で行動できること。
今後は、来所後から個別支援が始まるまでの待ち時間にも、図鑑やiPadなど本人が落ち着いて楽しめる活動を用意し、
「来所後の準備→待つ→個別支援」
という流れ全体を、自分で進めやすい環境にしていきます。
そして、本人に合う「見て分かる仕組み」を、家庭や学校などの日常生活にも広げていきたいと考えています。
「何度言っても忘れてしまう」
「声をかけないと次の行動に移れない」
「自分でできることを増やしてほしい」
そんなお子さんには、本人の頑張りを求める前に、環境を少し変えることでできることがあるかもしれません。
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